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拍子記号
拍子記号は以下のようにセットします:
\time 2/4 c2 \time 3/4 c2.
拍子記号は楽曲の始まりと拍子記号が変更されたときに譜刻されます。行の終わりで変更が起こる場合、警告の拍子記号が行の終わりに譜刻されます。デフォルトの振る舞いを変更することができます。オブジェクトの可視性 を参照してください。
\time 2/4 c2 c \break c c \break \time 4/4 c c c c
2/2 や 4/4 で使用される拍子記号は数字を使用するスタイルに変更することができます: changed to a numeric style:
% Default style \time 4/4 c1 \time 2/2 c1 % Change to numeric style \numericTimeSignature \time 4/4 c1 \time 2/2 c1 % Revert to default style \defaultTimeSignature \time 4/4 c1 \time 2/2 c1
定量拍子記号については @ref{Mensural time signatures} でカバーされています。
定義済みコマンド
\numericTimeSignature
,
\defaultTimeSignature
Selected Snippets
連桁に影響を与えずに拍子記号を変更する
\time
コマンドは
Timing
コンテキストのプロパティ timeSignatureFraction
,
beatLength
, beatGrouping
それに measureLength
を設定します。通常、Timing
コンテキストには
Score
という別名が与えられています。timeSignatureFraction
の値を変更すると、他のプロパティに変更を加えることなしに新しい拍子記号が譜刻されます:
\markup { This snippet is deprecated as of 2.13.5 and will be removed in 2.14 }
混合拍子記号
20 世紀の風変わりな拍子 ("5/8" など) はしばしば混合拍子記号で演奏されます (例えば、"3/8 + 2/8")。混合拍子は 2 つ、あるいはそれ以上の異なる韻律を組み合わせます。明示的に混合拍子記号を譜刻して、自動連桁機能を調整することによって、LilyPond はそのような音楽を非常に読みやすく、演奏しやすいものにすることができます。(さらに、グラフィック拍グループ化指示 (Graphic measure grouping indications) を付け加えることもできます。このデータベースの中にある適当な断片を参照してください。)
#(define ((compound-time one two num) grob) (grob-interpret-markup grob (markup #:override '(baseline-skip . 0) #:number (#:line ((#:column (one num)) #:vcenter "+" (#:column (two num))))))) \relative c' { \override Staff.TimeSignature #'stencil = #(compound-time "2" "3" "8") \time 5/8 \set Staff.beatStructure = #'(2 3) c8 d e fis gis c8 fis, gis e d c8 d e4 gis8 }
拍子の数として (分数ではなく) 分子だけを譜刻する拍子記号
時々、拍子記号は分数 (例えば、7/4) 全体ではなく分子 (この場合は 7) を譜刻すべき場合があります。これは \override Staff.TimeSignature #’style = #’single-digit を用いて拍子記号のスタイルを永続的に変更することによって容易に達成できます。\revert Staff.TimeSignature #’style を用いることでこの設定を元に戻すことができます。分子だけのスタイルを 1 回だけ拍子記号に適用するには、\override コマンドの前に \once を置きます。
\relative c'' { \time 3/4 c4 c c % Change the style permanently \override Staff.TimeSignature #'style = #'single-digit \time 2/4 c4 c \time 3/4 c4 c c % Revert to default style: \revert Staff.TimeSignature #'style \time 2/4 c4 c % single-digit style only for the next time signature \once \override Staff.TimeSignature #'style = #'single-digit \time 5/4 c4 c c c c \time 2/4 c4 c }
参照
音楽用語集: time signature
記譜法リファレンス: @ref{Mensural time signatures}, 時間管理
コード断片集: リズム
内部リファレンス: TimeSignature, Timing_translator
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上拍
弱拍や上拍などのような部分小節またはピックアップ小節は、\partial
コマンドを使って入力します。以下の構文を使用します:
\partial duration
duration
は、最初の完全な長さを持つ小節の前に置かれる小節の長さです:
\partial 4 e4 | a2. c,4 |
部分小節は、完全な長さを持つ小節よりも短い演奏時間なら、どのような長さでも持つことができます:
\partial 8*3 c8 d e | a2. c,4 |
内部的には、\partial
は以下のように翻訳されます:
\set Timing.measurePosition = -duration
プロパティ measurePosition
は、ある時点でその小節はどれくらい演奏済みになっているかを示す有理数を保持します。このプロパティは \partial
によって負の数にセットされるということに注意してください:
すなわち、\partial 4
は内部的に -4
に翻訳され、“その小節には 4 分音符が残っている” という意味になります。
参照
音楽用語集: anacrusis
記譜法リファレンス: 装飾小音符
コード断片集: リズム
内部リファレンス: Timing_translator
既知の問題と警告
\partial
コマンドは楽曲の開始時で使用されることだけを意図したものです。楽曲の途中でこのコマンドを使用した場合、奇妙な警告がいくつか発生するかもしれません。
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無韻律の音楽
小節線と小節番号は自動的に算出されます。無韻律の音楽 (例えば、カデンツァの一部) では、この機能は望ましくありません。小節線と小節番号の自動算出を off にするにはコマンド \cadenzaOn
を使用し、再び on にするには \cadenzaOff
を使用します。
c4 d e d \cadenzaOn c4 c d8 d d f4 g4. \cadenzaOff \bar "|" d4 e d c
小節番号振りは、カデンツァが存在しないかのように、カデンツァの終了点で再開されます:
% Show all bar numbers \override Score.BarNumber #'break-visibility = #all-visible c4 d e d \cadenzaOn c4 c d8 d d f4 g4. \cadenzaOff \bar "|" d4 e d c
定義済みコマンド
\cadenzaOn
,
\cadenzaOff
参照
音楽用語集: cadenza
記譜法リファレンス: オブジェクトの可視性
コード断片集: リズム
既知の問題と警告
LilyPond は改行と改ページを小節線の箇所にのみ挿入します。無韻律の音楽が譜表の行の終わりまでに終了しないのならば、以下のように不可視の小節線を挿入する必要があります:
\bar ""
これは、改行または改ページを起こすことができる場所であることを示します。
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複合拍子記譜法
複合拍子表記がサポートされます。明示的な複合拍子と、可視の拍子記号を変更して、音符の演奏時間を伸縮することによる複合拍子のどちらもです。
それぞれの譜は異なる拍子記号を持ち、それぞれの譜の小節の長さは等価である譜表
この表記を作成するには、各譜表に共通の拍子記号をセットし、timeSignatureFraction
に望みの分数をセットすることによって記号を手動で置き換え、各譜表の演奏時間を伸縮させて共通の拍子記号に合わせます
– 拍子記号 を参照してください。演奏時間の伸縮は \scaleDurations
で行います。このコマンドの使用方法は \times
と同じですが、連符囲みを作成しません – 演奏時間を変更する を参照してください。
この例では、3/4, 9/8 それに 10/8 の拍子を持つ音楽が並列に並べられています。2 番目の譜表では、演奏時間に 2/3 が掛けられ、それによって 2/3 * 9/8 = 3/4 となっています。3 番目の譜表では、演奏時間に 3/5 が掛けられ、それによって 3/5 * 10/8 = 3/4 となっています。演奏時間の伸縮は自動連桁の規則に影響を与えるため、しばしば手動で連桁を挿入することが必要になります。
\relative c' << \new Staff { \time 3/4 c4 c c | c c c | } \new Staff { \time 3/4 \set Staff.timeSignatureFraction = #'(9 . 8) \scaleDurations #'(2 . 3) \repeat unfold 6 { c8[ c c] } } \new Staff { \time 3/4 \set Staff.timeSignatureFraction = #'(10 . 8) \scaleDurations #'(3 . 5) { \repeat unfold 2 { c8[ c c] } \repeat unfold 2 { c8[ c] } | c4. c4. \times 2/3 { c8[ c c] } c4 } } >>
それぞれの譜は異なる拍子記号を持ち、それぞれの譜の小節の長さが等価ではない譜表
Timing_translator
と Default_bar_line_engraver
を
Staff
コンテキストに移すことによって、それぞれの譜に独立した拍子記号を与えることができます。
\layout { \context { \Score \remove "Timing_translator" \remove "Default_bar_line_engraver" } \context { \Staff \consists "Timing_translator" \consists "Default_bar_line_engraver" } } % Now each staff has its own time signature. \relative c' << \new Staff { \time 3/4 c4 c c | c c c | } \new Staff { \time 2/4 c4 c | c c | c c | } \new Staff { \time 3/8 c4. | c8 c c | c4. | c8 c c | } >>
Selected Snippets
混合拍子記号
20 世紀の風変わりな拍子 ("5/8" など) はしばしば混合拍子記号で演奏されます (例えば、"3/8 + 2/8")。混合拍子は 2 つ、あるいはそれ以上の異なる韻律を組み合わせます。明示的に混合拍子記号を譜刻して、自動連桁機能を調整することによって、LilyPond はそのような音楽を非常に読みやすく、演奏しやすいものにすることができます。(さらに、グラフィック拍グループ化指示 (Graphic measure grouping indications) を付け加えることもできます。このデータベースの中にある適当な断片を参照してください。)
#(define ((compound-time one two num) grob) (grob-interpret-markup grob (markup #:override '(baseline-skip . 0) #:number (#:line ((#:column (one num)) #:vcenter "+" (#:column (two num))))))) \relative c' { \override Staff.TimeSignature #'stencil = #(compound-time "2" "3" "8") \time 5/8 \set Staff.beatStructure = #'(2 3) c8 d e fis gis c8 fis, gis e d c8 d e4 gis8 }
参照
音楽用語集: polymetric, polymetric time signature, meter
コード断片集: リズム
内部リファレンス: TimeSignature, Timing_translator, Default_bar_line_engraver, Staff
既知の問題と警告
異なる拍子記号を持つ譜が並列に並べられている場合、同時に起こる音符の水平方向の位置は同じになります。しかしながら、それぞれの譜の小節線により、音符の間隔は通常の異なる拍子記号が無い場合よりも不規則になります。
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自動音符分割
小節線をまたがる長い音符を自動的にタイで結ばれた音符に変換することができます。これを行うには、Note_heads_engraver
を
Completion_heads_engraver
で置き換えます。以下の例では、小節線をまたがる音符が分割され、タイで結ばれています。
\new Voice \with { \remove "Note_heads_engraver" \consists "Completion_heads_engraver" } { c2. c8 d4 e f g a b c8 c2 b4 a g16 f4 e d c8. c2 }
このエングラーバは進行中の音符をすべて小節線のところで分割して、タイを挿入します。このエングラーバの用途の 1 つに複雑な楽譜のデバッグがあります: 小節が足りていない場合、このエングラーバで挿入されたタイが、それぞれの小節の不足分を示します。
参照
音楽用語集: tie
学習マニュアル: エングラーバの説明, エングラーバを追加 / 削除する
コード断片集: リズム
内部リファレンス: Note_heads_engraver, Completion_heads_engraver, Forbid_line_break_engraver
既知の問題と警告
すべての演奏時間を通常の音符と付点で正確に表すことはできません
(特に、連符を含んでいる場合) が、Completion_heads_engraver
が連符を挿入することはありません。
Completion_heads_engraver
は音符にだけ作用します。休符を分割することはありません。
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旋律のリズムを示す
しばしば旋律のリズムだけを示したいことがあります。これはリズム譜表を使うことで達成できます。そのような譜表上にある音符のピッチはすべて破棄され、その譜表自体は 1 本の線を持ちます:
<< \new RhythmicStaff { \new Voice = "myRhythm" { \time 4/4 c4 e8 f g2 r4 g g f g1 } } \new Lyrics { \lyricsto "myRhythm" { This is my song I like to sing } } >>
ギター コード表はしばしばつま弾き (ストラム) のリズムを示します。これは Pitch_squash_engraver
と \improvisationOn
を使うことで達成できます。
<< \new ChordNames { \chordmode { c1 f g c } } \new Voice \with { \consists Pitch_squash_engraver } \relative c'' { \improvisationOn c4 c8 c c4 c8 c f4 f8 f f4 f8 f g4 g8 g g4 g8 g c4 c8 c c4 c8 c } >>
定義済みコマンド
\improvisationOn
,
\improvisationOff
Selected Snippets
ギターつま弾きのリズム
ギター演奏のために、旋律の音符、コード名、フレット図とともに、つま弾きのリズムを示すことができます。
\include "predefined-guitar-fretboards.ly" << \new ChordNames { \chordmode { c1 | f | g | c } } \new FretBoards { \chordmode { c1 | f | g | c } } \new Voice \with { \consists "Pitch_squash_engraver" } { \relative c'' { \improvisationOn c4 c8 c c4 c8 c f4 f8 f f4 f8 f g4 g8 g g4 g8 g c4 c8 c c4 c8 c } } \new Voice = "melody" { \relative c'' { c2 e4 e4 f2. r4 g2. a4 e4 c2. } } \new Lyrics { \lyricsto "melody" { This is my song. I like to sing. } } >>
参照
コード断片集: リズム
内部リファレンス: RhythmicStaff, Pitch_squash_engraver
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